大判例

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福岡高等裁判所那覇支部 昭和58年(う)44号 判決

被告人は本件事故当時,酒気を帯びアルコールの影響により正常な運転が出来ないおそれがある状態で被告人車を運転していた疑いもかなり強いけれども,事故前の飲酒量に基づく事故当時の被告人の呼気中アルコール濃度は呼気1リツトルあたり0.62ミリグラムないし0.7ミリグラムと推定されるに止まり,飲酒条件が異なる可能性がないではないことを考慮すると右の数値はやや幅をもつて考える必要があること,また被告人の本件事故前後の身体的状況,当時の運転状況等には酒酔い運転を窺わせる点も少なくないが,決定的な状況証拠に欠けることに照らすと,主位的訴因である酒酔い運転の罪については「疑わしきは被告人の利益に」の原則に従い,未だその証明が十分ではないとするのが相当である。

しかしながら,他方,道路交通法施行令44条の3が規定する呼気1リツトルにつき0.25ミリグラム以上のアルコールを身体に保有する酒気帯びの事実を認定するには,必ずしも科学的な判定による必要はなく,犯行前の飲酒量,飲酒状況,飲酒後の経過時間,犯行当時の被告人の身体的状況等諸般の事情から明白に認定できることがあるのは多言を要しないところ,本件における被告人の飲酒量は前示認定のとおりかなり多量であつて(アルコール比に基づき換算すると清酒約825ミリリツトルに相当する。),本件事故当時の推定呼気中アルコール濃度は右のとおり,0.25ミリグラムを遙かに超えるものであること,被告人は捜査段階において酒酔い運転を自白し,また事故当時の被告人を目撃した名城宜孝及び中山忠幸はいずれも被告人を酒に酔つたものと認めていたこと等前記各事実を総合すると,少なくとも予備的訴因の酒気帯び運転の限度では,犯罪の証明が十分であるというべきである。論旨はその限度で理由がある。

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